Edmond Hall:「もし、クラリネット奏者を雇わなけばならないとしたら、Edmond Hallを使う」 by Benny Goodman

　Edmond Hallは、1901年5月15日にルイジアナ州リザーブで生まれ、1967年2月11日にボストンで亡くなった、スイングジャズ期に活躍したアメリカのジャズクラリネット奏者兼バンドリーダーで、ダーティー・トーンと呼ばれる独特な音色とスタイルで評価されたミュージシャンです。

　Hallは、音楽好きの家庭に生まれました。父と母の間には8人の子供がおり特に末の弟であるハービー・ホールもクラリネット奏者として知られていました。Hallがクラリネットを手にしたのは、若い頃からでしたが、独自の音楽的な個性を確立するまでには長い時間がかかりました。1921年から1923年にかけて、彼はニューオーリンズのBuddy Petitのバンドに参加し、1928年にはAlonzo Rossと共にニューヨークへ移りました。彼はClaude Hopkinsのオーケストラ（1929-1935）で活動し、時折クラリネットで将来の自分の音色を披露していました。

　1940年代初頭には、Hallのクラリネットは独特な個性を獲得し、いわゆる「ダーティ」な音色が一音で即座に認識できるようになりました。彼はLucky Millinder、Zutty Singleton、Joe Sullivanらと共演し、1940年にRed Allenに加入しました。その後、Teddy Wilsonのセクステット（1941-1944）に参加し、1942年にはDuke Ellington's OrchestraのBarney Bigardの後任となる機会を得ましたが、それを断っています。

　1944年、HallはEddie Condonと共に活動を始め、カフェ・ソサエティで自身のグループを率いました。ボストンを拠点に数年間過ごした後、1950年から1955年の間はCondonのクラブのハウスバンドで活動しました。その後、Louis Armstrong's All-Starsの一員として世界をツアーし（1955-1958）、1960年代には時折Condonとも共演しています。1967年のJohn Hammondの"Spirituals to Swing concert"コンサートで最終録音を行い、65歳で心臓発作のため亡くなるまで、その独特な音色とスタイルでジャズシーンに大きな影響を与え続けました。

　Edmond Hallは、ブルーノート、コモドア、サヴォイ、ストーリーヴィル、ユナイテッド・アーティスツなどのレーベルで多くの録音を残しました。彼の音楽は今も多くのジャズファンに愛されており、その独特なスタイルと音色はジャズ史に刻まれています。