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執筆者の写真ス・モンク カフェ

Hal McKusick:知る人ぞ知るマルチリード奏者

 ジャズの世界には数々の名手が存在しますが、その中でも特に光り輝く存在がいます。しかし、Hal McKusick、彼の名前を聞いたことがない人はきっと多いでしょう。きょうがHal McKusickの誕生日であることに因み、彼の生涯と功績を振り返りつつ、彼の魅力を再発見してみましょう。


Hal McKusickとは?

 Hal McKusickは、東海岸のジャズサックス奏者、作曲家、アレンジャーとして知られ、その滑らかで魅惑的な音色、そして完璧な技術で多くのジャズファンを魅了してきました。彼の演奏は、Charlie ParkerやDizzy Gillespie、Clark Terry、Art Farmer、Johnny Mandelなど、名立たるミュージシャンたちからも高く評価されていました。


キャリアの始まり

 Halのキャリアは1940年代初頭に始まり、1943年にはLes Brownと共に初めて録音を行いました。その後、Boyd Raeburn、Alvino Rey、Buddy Rich、Ralph Burns、George Handy、Tom Talbert、Claude Thornhill、Neal Heftiなど、当時の名バンドと共演を重ねました。彼は計233回の録音セッションに参加し、その多くがジャズ史に残る重要な作品となっています。


1950年代の活動

 1950年代に入るとHalは、Elliot Lawrence、Bill Harris、Al Cohn、Quincy Jones、Ernie Wilkins、Gene Krupa、Manny Albamなど、多くのバンドで活動を続けました。また、この時期はSP盤に代わってLPレコードが普及し始めたことにより、小編成のグループによる創造的なセッションが求められるようになり、Halも多くの革新的なセッションに参加しました。特に1956年の活動は目覚ましく、その年だけで多くの重要な録音を残しています。


サウンドの特徴

 Hal McKusickのアルトサックスの音色は、1940年代後半から始まりました。彼の音色は軽やかで乾いたトーンが特徴で、攻撃的でありながらも知的で魅力的なサウンドを持っていました。このアプローチは、Paul DesmondやLee Konitzといったクールジャズの名手たちにも影響を与えました。彼の演奏はビブラートを最小限に抑え、叙情的なフレージングと高音域の巧みな使用で、魅力的で切ない軽さを生み出しました。


多才なアーティスト

 ハルは音楽だけでなく、多くの趣味でも卓越した才能を発揮しました。1970年代にはパイロットの資格を取得し、ギグに飛行機で向かうこともありました。また、木工細工にも精通し、自宅の工房でボウルやテーブル、キャビネットを制作していました。さらに、優れた写真家でもあり、Bill Evansなど多くのアーティストの写真を撮影しました。


Hal McKusickのおすすめアルバム

 最後に、Hal McKusickの魅力を存分に味わうための必聴アルバムを紹介します。


  • East Coast Jazz Vol. 8 (1955) ベツレヘムのカナログの中でもシリーズ化した異色作品「イー スト・コースト・ジャズ・シリーズ」の8作品目としてリリース されたアルト・サックス奏者、Hal McKusickの代表作にしてベツレヘムカタログ中でも屈指の名作。


  • Triple Exposure (1957) 知性派クール・アルト奏者Hal McKusickのプレスティッジ時代の名盤。名手Billy Byersとの2管。Halは美しいラインと温かさをもったトーンがとても魅力的です。



  • Cross-Section Saxes (1958)

Hal McKusickのリーダーとしての最後の録音。4人の異なるアレンジャーによる3つのセッションから成り、HalとピアニストのBill Evansの美しい共演が聴き所です。




 Hal McKusickは晩年にはニューヨークにある学校で教鞭を取っていましたが、2012年4月11日に、老衰のため87歳で亡くなりました。きょうは彼の音楽を聴きながら、その音色に浸り、彼の功績に思いを馳せてみてください。彼の音楽は、時代を超えて私たちに感動を与え続けるでしょう。

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