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執筆者の写真ス・モンク カフェ

Miles Davis:伝説のマラソン・セッション1日目“Steamin' with the Miles Davis Quintet”

 コロンビア・レコードのGeorge Avakianは、1955年の夏、Miles Davisがニューポートで演奏するのを聞き、彼を自分のレーベルに引き入れたいと強く感じました。しかし、Milesはまだプレスティッジ・レコードとの契約が残っており、さらに4枚のアルバムをリリースする義務がありました。そこで、AvakianはMilesに4000ドルの前払金を含む契約を提示しました。その条件は、Milesがコロンビアでの録音を行っても、それらの音源がプレスティッジの契約が終了するまで公開されないというものでした。


 Avakianの依頼に応え、MilesはMiles Davis Quintetを結成しました。最初のクインテットには、テナーサックスのSonny Rollins、ピアノのRed Garland 、ベースのPaul Chambers、そしてドラムのPhilly Joe Jonesが含まれていました。しかし、後にRollinsが脱退し、Jonesの勧めでJohn Coltraneが加入しました。


 Milesはプレスティッジとの契約を果たすために、1956年の5月と10月に2つのマラソンセッションを行いました。これらのセッションから生まれた音源は、後に4枚のLPとしてリリースされ、それが“Cookin' with the Miles Davis Quintet”(1957年)、“Relaxin' with the Miles Davis Quintet”(1958年)、“Workin' with the Miles Davis Quintet”(1960年)、そして“Steamin' with the Miles Davis Quintet”(1961年)というアルバムです。

 これらのアルバムは高い評価を受け、Miles Davis Quintetをジャズ史上最高傑作の一つとして確立するのに大きく貢献しました。


 今回取り上げる“Steamin' with the Miles Davis Quintet”というアルバムは、一連のマラソン・セッションの中から生まれた、『Cookin'』、『Relaxin'』、そして『Workin'』というシリーズの最後の作品であり、これらのリリースは、最も刺激的なブローイング・セッションの例としてその価値を証明しています。テーマとアドリブは、ジャズの核であり、その真価を示すものです。


 ここで聴くことができるMilesのプレイの中でもとりわけ、バラードにおけるテーマの演奏が最も印象的です。彼はメロディを演奏する際に、それをアドリブに移行するためのただの段取りではなく、表現すべきものと捉えています。彼のメロディ演奏は、他のプレイヤーにもMilesの独特なスタイルが残るほど特徴的です。


 アップテンポな曲でのMilesのプレイも見逃せません。そこでの演奏は、彼のバラードプレイと同様に素晴らしいものです。また、Coltraneとのアンサンブルにも注目すべきです。彼らはテーマを抽象的に捉え、それぞれの楽曲に異なるアプローチを取っています。

 “Steamin' with the Miles Davis Quintet”は、ジャズに真剣に興味を持つ人々にとって必聴の作品と言えるでしょう。

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