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執筆者の写真ス・モンク カフェ

Tina Brooks:陰に隠れたハードバップの天才サックス奏者


 ’S Monk Caveへようこそ!今回は、知る人ぞ知るハード・バップの名手、Tina Brooksの魅力に迫ります。彼の誕生日を記念して、その生涯と音楽、そして彼の代表作"True Blue"についてご紹介します。


波乱に満ちた人生と音楽への旅

 Harold Floyd Brooks、通称Tina Brooksは、1932年6月7日にノースカロライナ州フェイエットビルで生まれました。1944年に家族と共にニューヨークに移り住み、早くから音楽の道を歩み始めます。彼のニックネーム"Tina"は"Teenyや"Tiny"から派生したもので、彼の小柄な体格に由来しています。

 幼少期から音楽に親しんだBrooksは、兄のDavid "Bubba" Brooksが演奏していたSonny ThompsonのR&Bバンドに参加し、プロとしてのキャリアをスタートさせました。そして、ブロンクスにあるブルー・モロッコという店で、伝説のビバップ・トランペッター、Little Bennie Harrisと出会ったことから、Brooksはジャズの道を本格的に歩み始めます。Harrisは彼にモダン・ジャズの複雑さを解き明かし、Elmo Hopeのような気の合う仲間を紹介し、Harrisの勧めでブルーノートの創業者Alfred Lionが、Brooksに注目するようになります。そして1958年、Jimmy Smithのセッションでブルーノート・レーベルにデビュー。ここから彼の音楽人生が大きく動き出します。


"True Blue"でハード・バップの真髄を体感する

 1960年、28歳のBrooksは、自身が作曲した全6曲を収録したアルバム"True Blue"を録音しました。このアルバムは、Brooksの創造力と情熱を見事に表現しています。参加メンバーは、Freddie Hubbard、Duke Jordan、Sam Jones、Art Taylorという豪華な顔ぶれで、彼らの演奏もまたアルバムを一層引き立てています。


おすすめ曲

・Good Old Soul

アルバムの幕開けを飾るこの曲は、ミッドテンポのハード・バップで、Brooksの長く流れるようなソロが光ります。リラックスした雰囲気の中で、彼のメロディックなラインが次々と繰り出されます。

・True Blue

タイトル曲であるこの曲は、メロディとハーモニーが絶妙に絡み合い、聴く者を引き込む魅力を持っています。バンド全体の一体感が感じられ、特にBrooksのソロが際立っています。


Tina Brooksの音楽性と特徴

 Tina Brooksの音楽は、その独特の音色と流れるようなフレージングが魅力です。彼のトーンは「祈りのよう」と評され、エモーショナルでありながらも非常にテクニカルな演奏が特徴です。彼のメロディックなラインは、まるで三次元のオブジェのように立体的でありながら、ハーモニックなコンテクストの中で新たなリリシズムを生み出し続けます。


ジャズ界の同志たち:共演した名プレイヤー

 Brooksは、Jimmy SmithやKenny Burrell、Freddie Hubbard、Jackie McLeanといった同時代の多くのジャズミュージシャンと共演しました。これらのセッションは、Brooksの技術と感性を磨き上げる貴重な機会となり、彼の音楽にさらなる深みを与えました。

 例えば、彼が参加したJimmy Smithの"The Sermon"では、20分にも及ぶブルースの中で、Brooksのソロが際立っています。また、ケニー・バレルの"Blue Lights"やFreddie Hubbardの"Open Sesame"でも、彼の演奏は重要な役割を果たしています。


Tina Brooksの遺産:時を超えて響く音楽

 残念ながら、Tina Brooksのキャリアは短命に終わりました。1961年を最後に録音を行わず、1974年に42歳で他界しました。しかし、彼の音楽は時を経て再評価され、今日ではハード・バップの名作として"True Blue"をはじめとする彼の作品が愛されています。

 特に彼の音楽は、深い感情表現と卓越した技術の融合によって、多くのジャズファンに感動を与え続けています。彼のアルバムは、当時リリースされなかったものも含め、今では貴重なジャズの遺産として評価されています。


終わりに

 Tina Brooksの音楽は、彼の短い生涯にも関わらず、多くのジャズファンに感動を与え続けています。彼の深い感情表現と技術の融合は、まさにジャズの真髄と言えるでしょう。これを機に、ぜひ"True Blue"を聴いてみてください。その魅力に引き込まれること間違いなしです。


 ジャズ喫茶「’S Monk Cave」で、皆さんと共にTina Brooksの音楽を楽しむひと時を過ごせることを楽しみにしています。

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