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執筆者の写真ス・モンク カフェ

モダンジャズの伝説を紡ぐトロンボーンの魔術師J.J. Johnson:"The Eminent Jay Jay Johnson, Vol. 2"


 普段あまりジャズに馴染みのない方が、「ジャズ」と聞いて真っ先に思い浮かぶ楽器にトロンボーンは含まれないかもしれません。しかし、ジャズの初期にはどのバンドにもトロンボーンは欠かせない存在でした。ディキシーランドの時代が終わり、ビッグバンド時代が訪れると、トロンボーンは再びスポットライトを浴び、多くのプレイヤーが活躍しました。しかし、ビバップの時代が到来すると、トロンボーンは次第に影を潜めました。この時代において、唯一と言っていいほど注目されたトロンボーン奏者がJ.J. Johnsonでした。そこで今回は、今から69年前のきょう録音された彼の名盤、"The Eminent Jay Jay Johnson, Vol. 2"をご紹介します。


J.J. Johnsonの魅力

 J.J. Johnsonは、他のトロンボーン奏者には真似できない速さとメロディーを持つ演奏で、ビバップの世界において独自の地位を築きました。彼は、トロンボーンのスライドの制約をものともせず、驚くほど流暢で躍動感溢れる演奏を披露しました。その技術の高さは、まさに魔術師と呼ぶにふさわしいもので、トロンボーンがビバップにおいても十分に活躍できることを、自身の演奏をもって証明したのです。


"The Eminent Jay Jay Johnson, Vol. 2"

 J.J. Johnsonの魅力を存分に味わうには、ブルーノートレーベルからリリースされた"The Eminent Jay Jay Johnson, Vol. 2"が最適です。このアルバムには、1953年から1955年にかけて録音されたセッションが収められており、彼の技術と音楽性が余すところなく表現されています。

・アルバムの魅力と特徴

 このアルバムは、J.J. Johnsonが様々なミュージシャンと共演したセッションを収録しており、彼の多彩な表現力を堪能できます。特に注目すべきは、以下のポイントです。


・Horace Silverとの共演

 アルバムには、ピアニストのHorace Silverが参加しており、その流れるような演奏がJohnsonのトロンボーンと見事に調和しています。


・ラテンのリズムを取り入れた曲

 コンガ奏者のSabuが参加しているセッションでは、ラテンのリズムを取り入れた「バウンシー」なナンバーが楽しめます。特に、軽快で陽気なリズムが心地よいです。


・トロンボーンとテナーサックスの絶妙なハーモニー

 Hank Mobley(テナーサックス)とのデュエットは、ピアノの両手のように自然に調和し、聞き応えがあります。


・おすすめ曲

 アルバムの中でも特におすすめの曲をいくつか紹介します。

・"Daylie Double"

シカゴの人気ディスクジョッキー、Daddio Daylieに捧げられたこの曲は、JohnsonとMobleyの掛け合いが楽しめる軽快なナンバーです。

・"Pennies From Heaven"

ベーシストのPaul Chambersがメロディを奏でる冒頭が印象的で、その後のJohnsonのミュート演奏も見事です。

・"You're Mine You"

Edwin HeymanとJohnny Greenの名曲を、Johnsonが感情豊かに奏でます。

・"Groovin'"

Horace Silverのブルージーなピアノソロが光る、このアルバムのハイライトの一つです。


J.J. Johnsonの遺産

J.J. Johnsonは、ビバップにおいてトロンボーンの可能性を広げた偉大なミュージシャンです。彼の演奏は、単に技術的に優れているだけでなく、心に響くものがあります。"The Eminent Jay Jay Johnson, Vol. 2"は、そんな彼の魅力を存分に堪能できるアルバムです。ジャズファンならずとも、一度は聴いてみる価値があります。


J.J. Johnsonの音楽に触れることで、トロンボーンの新たな魅力を発見し、ジャズの深い世界に引き込まれることでしょう。

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